研究概要 |
本研究は、各種微弱エネルギにより処理した水の物性挙動を調べるとともに、これらの処理により種々の機能を付加した水(機能水)の農業への利用の可能性について検討したものである。結果の要約はつぎの通りである。 1.電気石粒状物の充填層中を通水することにより、水の表面張力の値が低下し、膜透過性が向上することを測定結果から示した。 2.電解水の物性挙動については、(1)酸化水及び還元水のpHとORPの関係は試薬によるpH調整水のpHとORPの関係から大きくはずれること、(2)酸化水を砂層を透過させた場合、透過前の物性を保持するのに砂の体積の1.5倍以上の酸化水の量が必要ということが分かった。 3.電気分解水、電気石処理水、磁場処理水について、インキュベータ中でダイコンの初期生長を比較した結果、無処理水に比べていずれの処理水による栽培においても生体重、乾物重とも大きい結果が得られた。 4.電解水のナス科植物青枯病菌への殺菌効果及びトマトのNFT水耕栽培における電解水による根圈部殺菌効果を調べた結果、(1)酸化水は青枯病菌(10^3〜10^7cfu/ml)に対して高い殺菌効果があることが分かった。一方、還元水、塩酸水溶液、水酸化ナトリウム水溶液では10^310^5cfu/mlの青枯病菌に対して殺菌効果がなかった。(2)トマトのNFT栽培における青枯病の防除の結果、電解水による防除効果があることが分かった。 このように、本研究において機能水が、植物の成長制御や無農薬防除など農業への利用の可能性があり、その価値が極めて高いことが明らかにした。しかし、機能水の植物生体反応への関わりなどについては、まだ不明な点が多い。今後,これらの事象を科学的に解明し,確実でより効果的な利用技術を確立する必要がある。
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