研究概要 |
1.シロクローバ含有サポニンのTLCによる測定条件の検討を行い、大豆のそれと比較すると、シロクローバではサポニンの組成および含有量が大豆と異なることが確認された。 2.TLCではシロクローバ地上部には数本のサポニン様配糖体のバンドが検出され、それらの含有量および組成はエコタイプ間で異なることが明らかとなった。またいずれのシロクローバでも5月末〜7月にかけてサポニン様配糖体含有量は高く、秋季には低下した。 3.シロクローバ・クローン(フィア)をポット栽培し、窒素3段階(N:0,0.13,0.39g/pot)と庇陰3段階(相対照度:100,60,40%)処理で、植物の生育、窒素固定活性、サポニンの生成を調べた。 1).庇陰度が増すにつれて、地上部の積算再生量は大きくなり、また地上部重・根重は共に減少するが、施肥窒素量とはいずれも特定の関係は見られなかった。 2).窒素固定活性は無庇陰のN:0区が最も高く、窒素施用や庇陰により著しく低下した。 3).サポニン様配糖体についてTLCの分離条件をさらに改良し、またTLCの各ピークをHPLCで分析の結果、シロクローバからバンド(1)〜(8)の配糖体が検出された。そのうち(1)〜(4)はサポニン、(6)〜(8)はサポゲニン等サポニン様物質とみなされ、(5)は不明であった。 4).サポニン様配糖体は、N:0区はバンド(3)および(4)が他にくらべ含有率が高く、また相対照度:100%区で(1)(4)(6)が他処理区にくらべ高かった。 4.羊の採食試験では、シロクローバの嗜好性は給与直後は著しく高いが、飽食を待たずして減少し、サポニンなどによる採食抑制の可能性が示唆された。またシロクローバ採食でルーメン液の起泡性は著しく高まった。 5.シロクローバ・エコタイプ間では施肥窒素の利用性は、窒素施用による窒素固定活性阻害の小さい株で大きい。
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