研究概要 |
1.南部日本では,久住山麓の7牧場,1試験草地を調査した。牧草地,野草地,混在草地及び林内草地を組合せて肉牛を飼育する牧場,牧草地だけで乳牛を飼育する牧場と多様である。優占する草種は,牧地では,トールフェスク,レッドトップ,イタリアンライグラスで,一年生雑草が多く不安定である。野草地では,ネザサ,ススキ,トダシバで,ススキ化の遷移傾向が強い。混在草地は,ネザサにレッドトップを混じている。これら草地のUTDN/ha,kgは2.525,314,1145で,潜在生産力の3/4程度と推定された。 2.中部日本では,富士西麓地帯の酪農家と共同育成牧場を調査した。オ-チャードグラス,トールフェスク,イタリアンライグラスが優占する場合が多く,リ-ドカナリーグラス(Rcg),エゾノギシギシ(Rx)が雑草として侵入している。地域のUTDN/ha,kgの平均は,5,990であるが,基盤整備,集約放牧及びRxを除草剤で防除する簡易更新により,4、000レベルから41-76%向上している。 3.北部日本では根釧台地の9酪農家を調査した。チモシー,オ-チャードグラス及びアカクローバが優占するが,地形の低地にはRcg,Rx及びシバムギが侵入している。UTDN/ha,kgの最低,最高及び平均は,2、171,3、510及び2、693である。これは一般に考えられているより20-30%低い値である。 4.生産力を低下させている管理上の要因は,放牧密度が軽過ぎる(南部),過度の富栄養による雑草の侵入(中部)及び放牧地の粗放管理(北部)と指摘される。良好な植生を維持し,高い牧養力を発揮させるには,栄養条件と利用強度を適度とすることに尽きると結論される。
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