研究概要 |
In situハイブリダイゼーション法は発生における各ステップで発現する遺伝子を研究するのにきわめて有効な手段であり、ある発生段階でどの細胞がactiveであるのか。それがどのように変化していくのかを明らかにする事が出来る。卵母細胞の授精前後でmRNAを集めcDNAライブラリーを作成し、subtractiveハイブリダイゼーションにより授精で発現した遺伝子をとりだす実験に先立ち、採卵のための排卵操作時における卵巣での遺伝子発現を調べるため、以下の実験を行った。22日令の雌ラットに10IUのpregnant mare serum gonadotropin(PMSG)を注射した48時間後、5IUのhuman chorionic gonadotropinを注射し、0,6,12時間後に卵巣を取り出し、in situハイブリダイゼーション法により、種々の遺伝子発現を観察した。堤供を受けた各種プローブに関する限り、卵母細胞における発現は観察されなかったが、manganese superoxide dismutase(MnSOD)の発現が内卵胞膜細胞で時間とともに増加するのが観察された。生直後から、1,3,7,10,14日令のラットの種々臓器でMn‐SODの発現を調べたところ、副腎における発現も除々に増加していた。ステロイドホルモン産生との関連を系統的に研究している。 上述の実験におけるホルモン注射後、卵管より卵丘を含む卵母細胞を採取し、チオシアン酸グアニジンを含む溶液中に保存し、mRNA抽出のために必要な細胞数を確保しつつある。実際のcDNAライブラリー作成には予想される卵巣細胞数に合わせて1‐3x10^5個の好中球を用いて予備実験を行っている。
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