研究概要 |
本研究においては,ラットに大豆油を経口投与し,10分後,30分後,1時間後に,肺,小腸,骨格筋,脂肪組織,腸間膜動脈,大動脈をそれぞれ採取し,グルタルアルデヒド固定,一部はオスミウム後固定を施し,主として,毛細血管を中心に,血中カイロミクロンと内皮細胞の関係を電顕的に観察した。また,血管内皮の凍結割断レプリカを作製し膜内粒子の分布様式をも観察した。 平成4年度行った,LCT,MCT乳剤静脈内投与実験結果との比較をも行い,次のような結果を得た。 1.経口投与大豆油は,小腸吸収細胞内で粗大なカイロミクロンが生成され粘膜固有層を経由しリンパ管に入る。この際,一部カイロミクロンは大食細胞に摂取消化される。その他,線維芽細胞表面で一部消化を受けることを示唆する像が得られた。 2.電顕的には,投与後30分〜1時間で検索した組織の毛細血管内にカイロミクロンが出現しているのを観察したが大部分は内皮細胞に接着していなかった。大きさも小さいものが多かった。大動脈や中等大動脈内にはカイロミクロンを観察できなかった。カイロミクロンは血漿内でも消化されるものと思われた。 3.血管内皮細胞の凍結割断レプリカ像から,カイロミクロン付着部と思われる細胞膜の膜内粒子の分布には特異性を認めなかった。したがって,リポタンパクリパーゼの存在様式に特異性はないものと思われた
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