研究課題/領域番号 |
04670034
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経解剖学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
細谷 安彦 筑波大学, 医療技術短期大学部, 教授 (60100145)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1993年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1992年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 交感神経節前細胞 / コレラ毒素B / 背側交連核 / 副交感神経節前細胞 / 視床下部室旁核 / 免疫組織化学 / オキシトシン / PHA-L / ラット |
研究概要 |
仙髄副交感神経節前細胞を標識するには骨盤神経節(下下腹神経節)に到達する手術方法を、まず確立する必要があった。試行錯誤の末、尿管よりも尾側で、糖管の背側で、前立腺の外側壁に、骨盤神経節を確実に露出することが出来るようになった。コレラ毒素Bの水溶液をガラス毛細管から1-2μl空気圧により骨盤神経節に注入し、腰仙髄に出現する逆行性標識細胞を調べた。交感神経節前細胞は腰髄の上部でL1-L2を中心に分布し、わずかにT13とL3に小数の細胞が観察された。副交感神経節前細胞は腰髄下部と仙髄上部のL6-S2に出現した。腰髄の交感神経節前細胞は両側性に、主に正中部に集中して出現し、いわゆる背側交連核を形成していた。中間外側核や介在核にはそれ程出現しない。細胞の分布に左右差を見ることは出来ない。コレラ毒素Bを一側の骨盤神経節に注入し、加えて、対側の腰神経前根を切ると、切断側では標識細胞が全く出現しない。樹状突起の広がりを調べて見ると、背側交連核では細胞体が正中部にあって、その樹状突起を外側に伸ばして樹状突起の束を作るのに対して、胸髄の交感神経節前細胞は主に中間外側核に存在し、その樹状突起を内側に伸ばして樹状突起の束を作る。すなわち、胸髄と腰髄の交感神経節前細胞ではその所在場所が違い、樹状突起の伸びの方向が違う。左右差がなく、正中領域に分布し、背側交連核を構成する交感神経節前細胞は、両側同時に、同じ入力を受けることが出来るように配置していることになる。無対性の骨盤臓器を支配するのに、この構造は都合のよいものであると思われ、これらの結果を現在論文にまとめ、投稿する準備にかかっている。背側交連核への上位中枢からの投射、一次感覚線維の入力の有無など、将来、骨盤臓器の神経支配を調べるのに役立つ基本的な、また重要な情報を提供出来たと考えている。一方、仙髄副交感神経節前細胞については、予備実験の段階で、室旁核由来の下行性線維を順行性にPHA-Lで標識しても、仙髄にはPHA-L陽性線維がほとんど見られない、との結果を得たので、仙髄副交感神経節前細胞への投射についての検討は今後の課題として残した。頭部迷走神経にコレラ毒素Bを注入した場合、迷走神経背側核と孤東核に非常に多数の逆行性標識細胞と順行性標識終末が出現する。視床下部の下行性線維をPHA-Lで順行性に標識し、コレラ毒素Bで逆行性に標識された迷走神経背側核にある副交感神経節前細胞との結合を検索しようと、現在、クリオスタット10μ厚の切片で蛍光二重標識をし、共焦点レーザー顕微鏡による検索を試行しているところである。
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