研究概要 |
卵巣除去ラットの子宮縦走筋は,エストロゲン注射の3日後,レラキシンによる収縮抑制応答が最大となる。この標本をモデル系として用いレラキシンの効果発現について,細胞内信号系のcAMP-protein kinase A(PKA)系の関与について研究を行った。細胞内にMg・Mnを負荷する条件設定を行ない,収縮活動・膜活動・cAMP含量・PKA活性・mag-fura 2発光を測定対象とした。アゴニストとしてレラキシン,イソプレナリン,フォルスコリン,db cAMP,8-Br cGMPを用い,Mg・Mn負荷前後の収縮応答の変動を比較検討した。 平成4・5年度を通して得られた実験結果を下表に示した。 上記についてa.は用いた薬物,b,cはMg,Mnの細胞負荷前後での各薬物の抑制効果の変化を示している。上向き矢印は効果増大,下向き矢印は減少を示す。 注目すべき実験結果として,Mn負荷によりイソプレナリンとフォルスコリンの抑制効果は増大するが,レラキシンとdb cAMPの効果は減少する。他方8-Br cGMPの効果は増大する。他方,Mn負荷によりイソプレナリン・フォルスコリンがcAMP経由の収縮抑制をおこすと考えられているが,db cAMPがMn負荷により逆に減少することが見出された。以上の実験結果は目下解釈が困難であるが,細胞内信号系の解析についてMn負荷の有効性が示唆される。購入物品のデータ・レコーダ(RP-880,エヌエフ電気)は電気現象の保存・再生用に用いた。
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