研究課題/領域番号 |
04670080
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山下 由朗 熊本大学, 医学部, 助手 (50128328)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1992年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | メルケル細胞 / パッチクランプ / アセチルコリン / ニコチン / ツボクラリン / ATP / ラット / リセプター |
研究概要 |
メルケル細胞は、皮膚表皮基底層に存在し感覚神経終末とシナプス様結合をしている特殊な細胞であるが、その機能については未だ明かでない。筆者は、同細胞をラット足底部皮膚より酵素・機械処理により単離して、ニスタチンperforatedパッチクランプ法を適用し、メルケル細胞膜上に存在するリセプターやイオンチャンネルの性質を電気生理的に調べた。組織化学的研究から存在が示唆されている伝達物質候補をそれぞれ細胞外投与したところ、アセチルコリン(ACh)とATPに対する応答電流が半数以上の細胞から見い出された。 1、ACh応答電流は、コンダクタンスの増大を伴う一過性内向き電流で閾値は30μMだった。本電流はニコチンでも惹起されツボクラリンで濃度依存性に抑制されたが、ムスカリンでは発生しなかった。また、本電流は、K_+を含まない内外溶液中では0mV付近で逆転した。上記の所見から、メルケル細胞膜上には、ニコチン様ACh受容体が存在し、AChを受容すると非選択性カチオンチャンネルを一過性に開いて膜を脱分極させることが明かとなった。組織学的にもメルケル細胞と向かい合う感覚神経終末にAChエステラーゼ活性が見いだされているので同細胞の情報伝達にAChの関与が大いに示唆される。 2、1mM-ATPは、小さな持続性の内向き電流を誘起したが、同濃度は、生体内作用濃度としてはあまりにも高過ぎリセプターの損傷が懸念された為、細胞単離時の酵素条件の改良を優先し詳細な解析は今後の課題とした。 3、カフェイン刺激で一過性外向き電流と持続性内向き電流が誘発されることより、細胞内Ca動員をもたらすような未知のリセプターの存在が示唆された。現在、細胞単離条件の改良とその他の伝達物質候補の効果を調べている。
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