研究課題/領域番号 |
04670175
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
武内 利直 千葉大学, 医学部, 助手 (00167488)
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研究分担者 |
更科 広実 千葉大学, 医学部, 講師 (10110678)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1992年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | リンパ上皮腫型胃癌 / EpsteinーBerr virus(EBV) / Polymerase chain reaction(PCR) / In situ hybridizartion(ISH) / latent rnembrane protein(LMP) |
研究概要 |
今年度は胃癌とEBVとの関連をPolymerase chain reaction(PCR)法によりDNAレベルで検索するとともに、EBERー1に対するProbeを用いin situ hybridization(ISH)法によりRNAレベルでその局在を調べた。その結果リンパ球浸潤の豊富な髄様型胃低分化腺癌18例中14例(77.8%)にEBVゲノムが確認された。このうち典型的なリンパ上皮腫型の症例では15例中14例(92.3%)にEBVの存在が腫瘍細胞内に認められ、この組織型とEBVとの明らかな相関が確認された。さらに、リンパ上皮腫型以外の低分化腺癌、分化型癌でもEBVの検出される症例があったが、胃癌切除症例101例中4例(4.0%)で、リンパ上皮腫型に比べ低率であった。臨床病理学的には、EBV関連胃癌症例は大部分が噴門部から胃体部にみられ、限局隆起型が多く、男性に多いという特徴が認められた。 EBVが腫瘍発生にどの様に関わっているのかを検討するために、凍結標本から高分子DNAを抽出しサザンブロッティング法による解析を行ったところ、腫瘍細胞内のEBVのmonoclonalityとEBVがepisomalな存在形式をとることが示された。次に、パラフィン切片および少数の凍結標本を用いてEBVの形質転換能に関連するlatent membrane prtein(LMP)、EBNAー2を免疫組織学的に調べたが全例陰性であった。しかしながら、EBVの検出された早期胃癌症例(粘膜内癌)の全割標本をISHで検索したところ、腫瘍細胞とEBVの分布が一致し、EBVが腫瘍進展の早期段階で既に腫瘍内に存在しており、LMPは陰性であるがEBVが腫瘍発生に関連している可能性が示唆された。EBV関連胃癌患者の抗EBV抗体価およびHLAタイピングは症例数が少なく評価困難であっが、EBV感受性の問題として今後症例を増やし検討を続ける予定である。また、リンパ球浸潤の多い髄様型乳癌4例の検索ではいずれもEBVとの関連性は認められなかった。
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