研究課題/領域番号 |
04670213
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岩城 徹 九州大学, 医学部, 講師 (40221098)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1993年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1992年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | αB-クリスタリン / 熱ショック蛋白質 / 脳腫瘍 / 神経膠腫 / 発現調節 / 癌遺伝子 / alphaB-クリスタリン |
研究概要 |
本研究は神経膠腫におけるαB-クリスタリンの発現亢進が腫瘍の生物学的特性とどのような関係があるかを検討し、種々の神経疾患におけるグリア細胞の反応機構と比較検討する事を目的としている。αB-クリスタリンは低分子量熱ショック蛋白質(HSP27)とアミノ酸配列の相同性が高く水晶体以外ではストレス蛋白質として働いている可能性がある。そこで、グリア系の培養細胞を用いて種々のストレス状態におけるαB-クリスタリンの発現調節を検索した。その結果グリア細胞においてαB-クリスタリンの発現が熱ショックや過酸化水素水を用いたoxidative stressによって誘導を受けることを見いだした。ついでαB-クリスタリン蛋白質の神経系における機能について検討するためにグリオーマ細胞に遺伝子導入を行ない、発現レベルの異なるモデルを作成してその機能解析を進めた。この実験では構成的に発現を変化させる目的で、ラウス肉腫ウイルスのプロモーターの下流にαB-クリスタリンのcDNAを正方向ないし逆方向に連結したものをグリオーマ細胞(C6,U-373MG)に導入し、αB-クリスタリンの高発現系および発現抑制系を作成した。αB-クリスタリンの発現を抑制すると細胞は小型で細長くなり、ストレスファイバーの減少ないし消失をきたし、細胞の基質への接着性が低下した。逆にαB-クリスタリンの増加はグリオーマ細胞に熱ショックへの耐性獲得に寄与することが分かった。以上の結果よりαB-クリスタリンはグリオーマにおいて細胞骨格構造の安定化に関与し、種々のストレス耐性の担い手となっていることが示唆された。最後にHSP27に対する抗体を用いた免疫染色にて、HSP27はグリオーマ細胞以外にも神経芽細胞腫株など、より広い種類の細胞に発現がみられ、ローゼンタール線維にもHSP27が含まれていた。
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