研究課題/領域番号 |
04670215
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山本 哲郎 熊本大学, 医学部, 助教授 (60112405)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1992年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 敗血症 / ショック / 細菌性プロテアーゼ / 緑膿菌エラスターゼ / 血漿キニン系 / ハーゲマン因子 / プレカリクレイン / 高分子キニノーゲン |
研究概要 |
敗血症性ショックの発現機構を、細菌性プロテアーゼによる血漿キニン系の活性化という観点から検討した。ショックの程度や性格は、麻酔下に、モルモットの動脈血圧及び末梢血管抵抗を圧トランスディーサを用いて観血的に測定することにより観察した。 緑膿菌エラスターゼを1.2mg/kg体重静注することによって致死性のショックを惹起できたが、緑膿菌内毒素静注では2.0mg/kgでも血圧低下は認められなかった。また、膵エラスターゼ1.2mg/kg静注によっても血圧低下は生じなかった。一方、抗緑膿菌エラスターゼ抗体や緑膿菌エラスターゼのインヒビターによりこのショックは阻害された。 このショックでは、末梢血管抵抗が減少すると共に、心拍出量も減少しており、ヒト敗血症の「低血圧クライシス」状態に酷似していた。ショック死動物の病理解剖所見では、体循環系細・小動静脈の拡張と、逆に、肺動脈並びに気管支の収縮が認められ、血行動態変化や呼吸異常とよく一致していた。 このショック動物の血漿キニン系三因子、すなわちハーゲマン因子、プレカリクレイン及び高分子キニノーゲンの濃度変化を観察すると、エラスターゼ投与前値のそれぞれ54%、0%および15%に減少しており、血漿キニン系因子の大量消費が考えられた。各因子に対する抗体をウサギに作成し、IgGF(ab′)_2を静注してそれぞれの因子を除去した動物を調整した。これらの動物では、致死量の緑膿菌エラスターゼ(1.2mg/kg)静注によってもショックは惹起されなかった。 in vitroにおいて、緑膿菌エラスターゼをヒトあるいはモルモット血漿と温置すると、3分以内に大量のキニンが遊離された。 以上の結果は、敗血症性ショックの初期相において、細菌性プロテアーゼによる血漿キニン系の活性化が重要な役割を果すことを示唆した。
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