研究概要 |
マウス腸管上皮内リンパ球(iIEL)のグランザイムAに関する過去の研究成果をふまえ、今年度は次の2項目について研究した。 1.グランザイムA-ペプチド抗体の同定とその作用 (1)CTLグランザイムAのペプチド(146-158位)に対する抗体を作成し、そのiIEL-グランザイムAとの反応性を検討した。ペプチド抗体はELISA法でグランザイムAと反応するが、マウス血清やトリプシンとは反応しない。(2)ウエスタンブロッティグでiIELから精製したグランザイムAのダイマーとは反応するが還元グランザイムとは反応しない。またこの抗体を用いて、^3H-DFP標識の可溶化iIELを免疫沈降することにより、分子量約60Kdの標識蛋白がこの抗体と反応することを証明した。(3)本ペプチド抗体は精製グランザイムAのBLTに対するエステラーゼ活性ならびに,iIELのP815に対する細胞障碍活性を阻害しなかった。 2.iIELの細胞障碍作用 iIELは24時間培養で約50%の細胞が死滅する。これはiIEL集団内の細胞がお互いに攻撃される結果ではないかと考え、BW5147およびBW5147とiIELのハイブリドーマ(49D4,30E3,14B7)を標的としてiIELの細胞障碍作用を調べた。 (1)P815を標的細胞に用いた場合,direct lysisは殆んど見られない。(2)BW5147および49D4,30E3,14B7に対しては強い細胞障碍活性を示した(E/T比1:2で10〜15%,1:5で〜35%)。この結果はiIELのNK活性はT細胞に対してより強く表現されていることを示唆するものである。
|