研究概要 |
大腸がん 結腸がん,直腸がんの調整死亡率を1955年より集計し,相互の関係を追求した。大腸がんは,戦後35年間に2倍に増加して,男子に顕著に増えている。その中結腸がんは3.3倍に増加し,男子では3.9倍に及んでいた。女子は2.8倍に止まり,男子に明らかに上昇を認める。直腸癌は戦後の35年間に1.2倍の上昇率に止まり,大腸がん死亡の増加は,結腸がんの増加なかんずく男子の増加に由来するものであることが分った。都道府県別 ブロック別の特徴は解析中である。 食物纎維摂取量の全国レベルでの年次推移は,多少の増減は認められるものの余り大きな変化を認めない。全国を国民栄養調査方式で12ブロックに区分すると,地域ブロック差は認められるが,年次的な大きな変化は認められなかった。食物纎維を全国平均値の推移で捉えると,国民の摂取量にそれ程の変化は年次推移でみる限り認められない。食品毎の食物纎維の摂取量としてみると,米の摂取減からくる米食物線維の減少が,結腸がん増加と逆相関の関係が示されている。大腸がんにはその傾向が認められていない。食物纎維の総量摂取量に大きい変動はこの20年間にみられないことから,食品群別に食物線維の量的配分の変動を,結腸がんを中心に解析する方向で取り組んでいる。 大腸がん死亡の著名な増加をもたらしている因子は,結腸がんの増加によるものなので,大腸がん死亡として全体でみるよりも,結腸がんに重点をおいて解析する必要がある。そのために地域ブロック別の死亡率解析を,結腸がん中心に推進するようにしている。摂取食品毎の食物纎維の摂取量についてブロック別の分析と,食生活要因と関わりのある社会経済的要因も,死亡率との関わりでブロック別の因子を求めるべく,展開してゆきたいと計画している。
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