研究概要 |
まず従来のHPLCのシステムをキャピラリーカラム(内径0.3〜0.5mm)に使用し,しかも移動相に濃度勾配をかけられる様にするために技術改良を加えた。すなわちprecolumn split systemを作成し,これによりサンプルはいったん濃縮カラムに吸着させ,操作中に失われる事なく全量HPLCカラムに導入する事ができ,かなりの高感度を得る事ができた。 以上の様な技術的な問題を克服した上で,10種類のピリドンカルボン酸素薬剤についてFABによる正イオンマススペクトルを測定し,各ピークの生成メカニズムの解析を行った。すべての薬剤でMH^+の擬分子イオンが基準ピークとして出現し,その他MH+H,MH+32,MH+62,MH+G,MH-H_2O,MH-CO_2等のピークが共通に認められた。その結果をふまえて,10種類のピリドンカルボン酸類の標準品をヒトの血液や尿に添加し,抽出法の検討を行ったところ,52.3〜109%と良好な回収率を得た。 キャピラリーHPLC-FAB-MSによるマスクロマトグラムを測定し,直線性や感度チェックを行ったところ,多少定量性には問題が残るものの,検出限界は0.1〜0.2μg/ml血清(注入量10〜20ng)であった。 以上の結果をJapanese Journal of Fonersic Toxicology,11巻,pp166-175,1993年に発表した。 その他上記FAB-MSに関連した薬毒物のMS分析や,固相抽出法の実験結果も各専門雑誌に発表した。
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