研究概要 |
その都度標識する必要のない,DNAフィンガープリント用ユニバーサルプローブ・システムを開発するために,先ずヒト骨髄腫細胞(YA)から抽出したDNAの1〜2kb断片をpUC118に組み込んでサブゲノム・ライブラリーを作製し,三種のプローブを単離した.次いで,その組換えベクターの一本鎖(一次プローブ)と,市販の酵素標識pUC118特異的オリゴヌクレオチドまたはジゴキシゲニン標識M13/pUC系ユニバーサル・シ-クェンシング・プライマーP8相補鎖(二次プローブ)を組み合わせて,ユニバーサルプローブシステムとした. 三種のプローブのうち,1.8kbのプローブ(DDBJ accession No.D29635)は既知のミニサテライト・プローブとは全く異なったもので,認むべき反復配列を含まないにもかかわらず,DNAフィンガプリントを検出した. 親子のトリオと無血縁者から抽出した試料DNAの制限酵素断片を電気泳動し,そのサザンブロットを一次プローブ,次いで二次プローブとハイブリダイズさせ(ジゴキシゲニン標識P8相補鎖を用いた場合は,更に酵素標識抗ジゴキシゲニン抗体と反応させ),酵素基質で発色させた. 通常の二本鎖プローブと同様に,ユニバーサルプローブシステムでも明瞭なDNAフィンガープリントを検出することができた.ジゴキシゲニン標識P8相補鎖は長期の凍結保存ができ,検出感度が高く,市販の二次プローブより安価に調製できるので,法医鑑定実務に適する.
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