研究課題/領域番号 |
04670388
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内科学一般
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
松井 利充 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (10219371)
|
研究期間 (年度) |
1992
|
研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
|
配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1992年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
|
キーワード | PDGF受容体 / M-CSF / fms / 骨芽細胞 / 血液幹細胞 / 細胞分化 / 神経芽細胞腫 |
研究概要 |
ヒト血小板由来成長因子(PDGF)受容体は、間葉系支持細胞セグリア細胞のみならず外胚葉神経上皮細胞由来の種々の腫瘍にも発現していることを明らかにしてきた。本年度さらにヒト神経芽細胞腫にPDGF-A鎖の発現も見られることをPCR法を用い明らかにした。私共はヒト肉腫細胞におけるPDGFオートクリン分泌がこれらの腫瘍細胞の増殖を促進していることを報告したが、ヒト神経上皮系細胞におけるPDGF受容体の発現は、脳の発生のみならず神経系腫瘍形成におけるPDGFの関与をも示唆している。骨肉腫細胞の対照正常細胞として検討しているマウス骨芽細胞様MC-3T3細胞では、PDGF受容体の発現はIL-1やTGFBなどのサイトカインのみならずステロイドホルモンスーパーファミリーに属するレチノイン酸やエストロゲンによって受容体サブクラス特異的な発現を受けることを見い出した。これらの液性因子はPDGF受容体のみならずA鎖遺伝子の発現をも制御している。すなわち正常細胞においてもオートクリン機構が存在し、PDGFおよびその特異受容体の発現調節がこれら正常細胞における最終的な生物学的反応を決定していると考えられる。さらに間葉系支持細胞の多くはPDGF刺激によりM-CSF遺伝子の転写発現が促進し、分泌さらにM-CSFは微小環境における単球/Mφ系細胞を誘導し、炎症性サイトカインの産生を促す。すなわちPDGFおよびM-CSFは間葉系支持細胞と血球細胞の共役機構において様々の病態に関与し中心的役割を果していることが示唆された。これらの遺伝子発現の制御機構の変調が腫瘍性疾患のみならず慢性炎症性疾患の病態に深く関与していると考えられる。さらに私共はこのPDGFおよびM-CSF受容体の構造的相同性に着目し、キメラ受容体を血液幹細胞に発現させ、単球/Mφ系細胞の分化に特異的な受容体の構造の同定を行った。
|