研究課題/領域番号 |
04670429
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
河田 純男 大阪大学, 医学部, 助手 (90183285)
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研究分担者 |
中西 孝至 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
伊藤 信之 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
今井 康陽 大阪大学, 医学部, 助手 (20201337)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1992年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 肝硬変症 / 肝細胞癌 / 増殖抑制因子 / TGF-β / DNA合成 / ELISA / bioassay |
研究概要 |
肝硬変症から高頻度で肝細胞癌が発症することが知られている。肝硬変症では肝細胞の壊死・再生が頻繁に繰り返されており、そのため肝硬変症は肝細胞癌発生の母地になるとされている。正常状態では、肝細胞の増殖はパラクリン機序により分泌されるtransforming growth factor-β(TGF-β)を中心とした増殖抑制因子により制御されている。しかし、肝の発癌過程において、TGF-βなどに対する反応性を失い、この増殖抑制機構から逸脱することにより、自律的増殖能を獲得すると考えられる。 私共は本年度において、ラット肝硬変モデルの肝細胞がTGF-βに対する反応性の低下を示すことを見い出している。すなわち、ラットにチオアセタマイドを飲料水に混入して投与し、肝硬変を作製した。この硬変化した肝よりコラゲナーゼ・カン流法により肝細胞を単離した。この硬変化肝細胞は、DNA合成能の増加を示し、細胞増殖能はむしろ亢進していると考えられた。一方、硬変化肝細胞の初代培養培地にTGF-βを添加しDNA合成への影響をみると、50%阻害するのに要するTGF-β濃度は正常肝細胞の場合と比較して有意に高濃度であった。このことから、硬変化肝細胞は、増殖能は亢進しているが、増殖抑制因子であるTGF-βに対する反応性が低下していると考えられた。 一方、私共はすでにヒト肝癌組織において、TGF-βmRNAおよびTGF-β蛋白量の増加を報告している。今回、肝細胞癌患者における血清中TGF-β濃度をbioassay法およびELISA法を用いて測定した。その結果、正常者、慢性肝炎患者、肝硬変症患者のいづれに対してもTGF-β濃度の有意な増加を見い出した。これはヒトの癌組織よりTGF-βが血中に放出されていることを示唆する初めての知見である。
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