研究概要 |
原発性胆汁性肝硬変ではヒト胆汁蛋白より精製したヒト胆管上皮抗原28KD(p28)に対する末梢血Tリンパ球に対するproliferationが高率に検出される。従って本症における胆管破壊にはp28を標的抗原とするT cell autoimmunityが病因として関与すると考えられる。 傷害胆管に浸潤リンパ球はCD8陽性,Leu15陰性のCTL phenotypeを示す。今回の研究では本症の脾臓Tリンパ球が自己胆管細胞に対して細胞傷害活性を示す事をmicro-cytotoxicity testにて明らかにした。 標的抗原p28のアミノ酸inner sequenceはHPLC蛋白カラムにp28の蛋白分解物をapplyし,検討中である。 本症の免疫遺伝学的背景にはMHC class II遺伝子をHLA-SSOP法にて解析し,ORBI*0803が疾患感受性遺伝子である可能性を示した。HLA class I抗原,Tumor Necrosis Factor(TNF)-α遺伝子のNCol多型性(RFLP),およびTrans portor gene(TAP2,RING II)の多型性については健常人と検出頻度に差異を認めなかった。 DRBI*0803陽性の原発性胆汁性肝硬変症例ではDRBI*0803陰性例に比し,胆管抗原p28に対するT cell proliferationが高率かつ,高値を示した。DRBI*0803のMHC分子が標的抗原の抗原呈子に関与して可能性が示唆された。
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