研究概要 |
[目的]我々は化学発光法を用いた髄液内単純ヘルペスウイルス(HSV)抗原の定量法(化学発光法)を開発してきた。本研究は、HSV脳炎(HSVE)における本法の診断法としての有用性,ウイルス学的定量性の検討を目的とする。[対象/方法][1]化学発光のHSVEの診断における有用性:正常顆粒球の化学発光量を抗HSV抗体を含まない系(A)と含む系(B)の2種で測定し、抗体付加による発光量変化を両者の比で定量化する。Aは、髄液(-70℃),ルミノール含有液,血漿,正常顆粒球液からなるassay系で、BはAに抗体を付加した系である。対象は、I群HSVE10例(17検体),II群非HSVE22例(26検体),III群非感染性神経疾患30例(30検体)の3群である。この3群間の陽性検出頻度を検定する。[2]化学発光法のウイルス学的定量性:培養HSVを用い10^0〜10^6感染単位(pfu/ml)の希釈系列を作製する。この希釈系列を上記Bで測定し定量性の検討をする。 [結果]I群HSVEの発症第5〜38病日の髄液検体(5〜10病日,7検体含む)で陽性を示した。IIとIII群は全て陰性であった。I群と他群の陽性検出頻度の相違は有意であった(p<0.01;Fisher検定)。10^0〜10^6感染単位では、感染単位の増加と共に発光量は増加した。10^1〜10^4感染単位では化学発光量をY,感染単位をXとすると、Y=-25167±227771ogX(r=0.99,p<0.01)の直線性増加を認めた。[結語]化学発光法はHSVE10例全例で陽性を認めた。非HSVE例、非感染性神経疾患では全例陰性であった。本法は高感度,特異性の高い診断法であった。HSVE第5〜10病日で陽性を認めたことより、早期診断上も有用であった。髄液中ウイルス量と発光量の増加は相関を示した。10^1〜10^4感染単位では感染単位の常用対数と発光量の間に直線性増加が示され、本法は定量性を有する髄液内HSV抗原定量法であった。
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