研究概要 |
1.梗塞前狭心症と左室機能保持の関係 梗塞前狭心症は側副血行循環を発達させることによって梗塞責任冠動脈の早期再潅流の有無に関わらず急性心筋梗塞後の左室機能保持に有用である。一方,梗塞前狭心症による虚血プレコンディショニング効果は早期再潅流に成功した患者においては左室機能保持に有効であるが,梗塞責任冠動脈が継続的に完全閉塞を呈している症例では期待できない。 2.労作性狭心症・急性心筋梗塞患者における冠側副血行循環の発達 心筋虚血刺激が存在するとすべてのヒトにおいて側副血行血管は発達する。側副血行血管の発達は受容冠動脈径の増加として把握しうる。側副血行循環の機能程度は,側副血行路の解剖学的存在と冠動脈間圧較差により決定される。 3.労作性狭心症に対するヘパリン運動療法の長期効果 運動負荷による虚血刺激がヘパリン存在下では増強されることに基づいたヘパリン運動療法の効果は,1年以上にわたって持続する。側副血行路を介しての冠血流予備能の増加は同一運動負荷での^<201>T1心筋シンチグラフィーにより証明された。 4.側副血行循環血流予備能に対する供給血管の狭窄の意義 供給冠動脈に狭窄を有しない患者では心筋酸素需要の増加に応じて,側副血行路を介した冠血流は増加するが,供給血管に有意狭窄を有する患者では血流増加が認められない。
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