研究概要 |
左室容積の連続測定が可能なConductance catheterが開発され注目されているが、私供は本法をヒトに応用することに成功しその容量測定の妥当性を明らかにした(Eur Heart J,1992)。この方法を用いて(1)心室の仕事量-拡張末期容積関係が収縮期末圧容積関係(ESPVR)に比し後負荷と心臓の大きさの影響を受けず臨床心機能評価に有用であること(Eur Heart J,1992)。(2)不全心では動脈-心室整合は不良でありACE-inhibitorによる後負荷軽減作用は動脈-心室整合の改善をもたらし、PDE-inhibitorでは更に改善することを明らかにしてきた(JACC,1993)。又、私供はConductance catheter法とWebster catheterから酸素消費量(Vo2)と総機械的エネルギー(PVA)を求め、デキストラン静注法にて段階的にVO_2とPVAを変化させ、ヒトにおいてもPVAはVO_2と高い直線相関を示し、陽性変力効果にてVO_2-PVA関係は上方に平行移動し、VO_2切片の増加は収縮性増強の程度に比例することを明かにした(Circulation,1993)。またドブタミンを段階的に投与し、VO_2切片の変化とEmaxの変化から単位収縮性増加分あたりの酸素消費を求め報告した(AHA,1992)。つまり私供のアプローチにより心筋酸素消費量から総機械的エネルギーへの変換効率や収縮性の酸素コストの定量的解析が可能となった。また従来のSingle field conductanceを改良した、Dual field conductance catheterを初めてヒトに応用し、従来困難であった著明な拡大心における評価も可能となった(AHA,1992)。
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