研究課題/領域番号 |
04670545
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
田中 弘允 鹿児島大学, 医学部, 教授 (80041292)
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研究分担者 |
中尾 正一郎 鹿児島大学, 医学部, 講師 (90155664)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1992年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 心筋症 / 心筋障害 / ジストロフィン / カテコールアミン / アドリアマイシン / 心筋細胞培養 / Becker型筋ジストロフィー症 |
研究概要 |
心筋症ならびに各種心筋障害おける心筋のジストロフィンの変化について臨床的、実験的検討を行った。 1)臨床的検討 対象は心筋生検を行った84症例。内訳は肥大型心筋症30例、拡張型心筋症14例、心筋炎9例、Becker型筋ジストロフィー4例、弁膜症10例、その他の心疾患17例である。心筋生検検体に対して、モノクローナル抗ジストロフィン抗体を用いてジストロフィンの免疫染色を行った。その結果、Beckerでは4例とも骨格筋と同様に心筋細胞膜のジストロフィンの部分欠損がみられた。一方、その他の心疾患ではジストロフィンは全周性に染色され、欠損はない事が明らかになった。 2)実験的検討 (1)カテコールアミンによる心筋障害 ラットを用いてイソプロテレノール100mg/Kgを皮下注射し、心筋障害を作成した後、ジストロフィン染色を行った。その結果、障害された心筋細胞においてジストロフィンの免疫染色性が低下あるいは消失することが認められた。この事は、進行性筋ジストロフィー症など遺伝子異常以外の病因によっても心筋ジストロフィンの異常が生じることを示している。 (2)アドリアマイシンによる心筋障害 ラットの新生児心筋細胞を培養し、ジストロフィン染色を行った結果、培養初期は核周囲に、その後しだいに広がり14日後は細胞全体に認められる事が明らかになった。アドリアマイシンを添加して障害を作成したところ、空胞変性を生じる前後の時期にジストロフィンが消失することが明らかになった。 以上のように臨床的研究では遺伝子異常による心筋ジストロフィンの異常・欠損が認められ、実験的には薬物による心筋障害においてジストロフィンが消失することが明らかになった。今後、これらの結果を基に、ジストロフィン消失の機序ならびにジストロフィン消失がどのように心筋細胞障害の進展へ関与しているかを明らかにしたい。
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