研究概要 |
[目的]P-糖蛋白のefflux pumpとしての機能性を応用して、多剤耐性(MDR)細胞の、新しい蛍光プローベFluo-3を用いた機能的解析の可能性を検討し、Rhodamine-123と比較した。[方法]薬剤感受性K562親株、多剤耐性K562/VCR、K562/ADR細胞、その感受性復元細胞、MTXのみ耐性で非多剤耐性K562/MTX細胞、多剤耐性であるがP-糖蛋白陰性K562/THPADR細胞を使用した。細胞(10^6/ml 5%FCS加RPMI1640)を37℃保温後、Fluo-3A/M(4μM)またはRh-123(1μM)を添加した。20分後に530nmで平均蛍光強度(mcf)をflow cytometer(Cytoron Absolute)で測定した。さらにP-糖蛋白阻害剤のverapamil(Ver,20μM)やcepharanthine(CP,10μM)を添加してmcfの変化を観察した。Effluxパターンは細胞を洗浄後30分、60分で検討した。P-糖蛋白発現はMRK16抗体を用いた免疫蛍光染色法によった。MDRmRNAはRT-PCR法によった。[結果]K562/VCRとK562/ADRではFluo-3,Rh-123ともに細胞内蓄積低下とVer/CPによる排泄遅延がみられた。P-糖蛋白発現のみられないK562/THPADR,K562/MTXではVer/CPによるFluo-3の排泄遅延が認められたがRh-123ではみられなかった。MDR1mRNA発現はP-糖蛋白陰性の細胞も含めてすべての細胞でみられた。[結論]以上より、Rh-123はP-糖蛋白発現をより明確に表現したが、Fluo-3はMDR1mRNAを発現する低レベルの多剤耐性の検出に有用かもしれない。
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