研究概要 |
TAMと急性巨核芽球性白血病(AMKL)における癌遺伝子であるRAS遺伝子の点突然変異を検出するために、TAM,AMKL各7例の腫瘍細胞よりDNAを抽出し、PCR-SSCP法で検討した結果、点突然変異を認めなかった。次に癌抑制遺伝子であるp53とRB遺伝子の点突然変異をそれぞれDNA-PCRとRNA-PCR法後にSSCP法を行い検討した。p53の点突然変異は認められなかったが、AMKLの2例でRB遺伝子の5´側1/3に点突然変異が検出され、現在塩基配列を解析中である。TAMではRB遺伝子の変異は認めていない。またAMKLでRB遺伝子の発現のみられない症例があり、RB遺伝子のプロモーター領域の塩基配列の異常を検索中である。 次にTAMとAMKLでの接着分子の発現を比較検討した。VLA4〜6は全例で陽性であり、CDlla,CD44は両群に陽性と陰性例がみられ両群間の差異はみられなかった。一方CD54(1CAM1)はTAMにのみ陽性例がみられ、TAMではCD54を介して免疫機構の制御を受けている可能性が考えられる。今後この点についてはさらに検討が必要と考えられる。 またモノクローナル抗体とビオチン化サイトカインを用いて、TAMとAMKLでのサイトカインを介した増殖機構を解析する手始めとしてサイトカインリセプターの発現を検討した。未だ検討した症例数が少ないがc-kit,γ-IFNR,IL4R,IL6R,IL7Rの発現を一部の症例に認めた。またIL1RはTAMとAMKLの全例で発現されていた。 現在は以上の各点についてさらに症例数をふやし精細な検討を行っている。
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