研究概要 |
神経冠は,胎生学的に(1)末梢神経細胞,(2)Schwann細胞,(3)melanocyte,(4)平滑筋を含む中胚葉細胞に分化する。神経芽腫は神経冠より発生する小児固形悪性腫瘍であるため,上記の4成分のいずれかに分化する能力があると考えられる。 本研究では,血液幹細胞と同様に多分化能を有する神経芽腫の多分化能(図)の機序について細胞・分子生物学的に検討した。 1)神経細胞への分化: 神経芽腫の神経細胞への分化はretinoic acidで最もよく起こることを明らかにした。そこでretinoic acid受容体(α,βとγ)のcDNAを用いて,retinoic acidによる分化誘導に伴う,retinoic acid受容体のmRN発現Aの変化を検討した。その結果αとβ受容体の発現が増加した。 2)平滑筋細胞への分化: 平滑筋細胞のマーカーであるα-smooth muscle actinとdesmin蛋白とmRNAの発現以外に平滑筋細胞のマーカーであるcaldesmon,α-smooth muscle myosin heavy chainとcalponinの蛋白とmRNA発現を検討,神経芽腫の未熟平滑筋細胞への分化を明らかにした。
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