研究概要 |
1、メラニン形成異常の検討 血清5-S-CDは、黒色腫の病勢を反映する有力な腫瘍マーカーである。しかし無色性黒色腫の場合には、血清5-S-CDは異常値を示さないことがある。この問題点を解決するため、黒色腫細胞の5-S-CD産生を亢進させる薬剤をスクリーニングしてきた。 黒色腫細胞(SK-MEL-118)を1mg/mlのPGE1存在下で、48時間培養したところ、培養液中の5-S-CDは、約40%上昇した。細胞中の5-S-CDは、約40%上昇した。コントロールに比べ、有意な増加がなかった。臨床的に、PGE1製剤がバージャー病等に用いられている。しかしASOを有する黒色腫患者にPGE1製剤を投与し、血清5-S-CDの増加の有無を検討したところ、有意な血清5-S-CDの増加はなっかた。今後も黒色腫細胞の5-S-CD産生を亢進させる薬剤のスクリーニングが重要であることが示された(T.Horikoshi et al,Cancer 1994)。 2、黒色腫細胞の細胞接着因子の解析と基底膜浸潤能 a)インテグリンbeta1alpha2(コラーゲン、ラミニンレセプター)は、免疫組織学的に殆どの原発、転移黒色腫組織で陽性であった。かつフォルボールエステル(TPA)処理で発現が促進し、コラーゲンに対する黒色腫細胞の接着も増強することを見いだした。しかもこれらレセプターの発現がプロテインキナーゼcのインヒビターでは抑制されず主としてカルモジュリンキーナゼにより調節されていることを明かにした(Int.Nationl J Cancer 1994 投稿中)。 b)CD44(ヒアルロン酸レセプター)抗体で黒色腫細胞を処理するとMatrigelへの浸潤能は、約70〜90%抑制された。インテグリンbeta1alpha2,beta1alpha4ともIFN-beta投与による発現の変化は明らかではなかった。TGF-beta,TNF,acidic FGF,basic FGF,EGFは、Matrigelへの浸潤能に変化を与えなっかた(Int.Nationl J Cancer 1994 投稿中)。
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