研究課題/領域番号 |
04670693
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
斎藤 正彦 東京大学, 医学部(病), 講師 (30235072)
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研究分担者 |
蓑口 雅博 東京都精神医学総合研究所, 社会精神医学, 研究職主事
箕口 雅博 東京都精神医学総合研究所, 社会精神科医学, 研究職主事
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1994年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1993年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1992年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 中国残留孤児 / 小児 / 移住 / 異文化適応 / 日本人 / 適応 |
研究概要 |
1988年6月から1989年6月の間に、中国帰国孤児定着促進センター(所沢)を経て東京近郊に定住した帰国孤児家庭の小児(帰国時年齢5才以上、11才以下)全例について、帰国後5-6年間にわたる追跡調査を行った。条件を満たす18例のうち、17例から調査に同意を得た。 17例中6例は帰国後1年の調査で、日本語の学習、学業、その他の点で適応上何らかの問題が観察された。これらの事例では、移住時の家族状況の不備による不十分な養育、中国でのやり方にこだわったために生じた摩擦、過剰適応、家族による抱え込みなどが問題の原因であった。これら6例は、帰国5年目までに各々問題を克服していた。別の1例は、帰国後4年目から不登校を起こし、家庭内で自閉的な生活を送り始めた。訪問時も直接面積できず、精神症状の有無を含め、詳細は不明のままである。いったんこうした問題が生じた場合、両親の言語的な問題のために学校と十分なコミュニケーションがとれないこと、社会的資源を利用できないことなどが、問題の解決をさらに困難にしていると考えられた。 これらの小児帰国者は、3年以内にほとんど自然な日本語を獲得し、5年後の調査では1例を除き、日本の社会に同化していたが、一方で日本語を学習できない両親とのディスコミュニケーションの問題も起こりつつあった。11才以下で帰国した小児帰国者は、孤児及び中国人配偶者である両親世代、中国人の配偶者を持ち、明らかに経済的理由によって日本への移住を選択した長年の二世世代とは異なった適応過程を示しており、今後、思春期を乗り越えて社会に参加していく過程では、十分な家庭的支援を期待できないことが危惧された。 帰国後5年以上を経過し、日本人孤児本人と中国人配偶者の間に、帰国動機の違いや、帰国後の生活に対する評価の違いなどから軋轢を生じている家庭が5組あり、二世の養育に対する影響が憂慮された。
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