研究概要 |
ICD-10の診断基準草稿に合致するアスぺルガ-症候群(AS群;28例,男23,女5;5.8±2.2歳)を、年齢・性比に有意差のないIQ71以上の高機能自閉症(HIA群;20例,男18,女2;7.0±3.3歳)とASとHIA以外の高機能広汎性発達障害(HOPDD群;75例,男65,女10;5.5±2.9歳)と比較した。発端児出生時の父親の年齢は、AS群(33.3±5.7歳)、HOPDD群(31.4±5.5歳)、HIA群(29.4±4.6歳)の間に有意差があった。父親の最終学歴は3群で有意差があり、AS群がHIA群より有意に高かった。始語月齢は、AS群(13.5±3.2月)で、有意にHOPDD群(19.1±8.9月)とHIA群(24.3±10.1月)より早かった。指さし出現月齢は3群で有意差があり、AS群(21.1±13.9月)でHIA群(33.4±11.8月)より有意に早かった。田中ビネ-IQは3群に有意差があり、AS群(105.1±18.1)はHOPDD群(85.9±10.7)とHIA群(85.0±9.6)より有意にIQが高かった。WISC-R全IQは、AS群(95.6±15.9)、HOPDD群(82.4±11.4)、HIA群(87.7±16.4)で、3群間に有意差はなかった。動作性IQは、3群間で有意差はなかった。言語性IQは3群間で有意差があり、AS群(101.9±17.7)はHOPDD群(81.1±10.8)とHIA群(79.1±20.7)より、有意にIQが高かった。知識と単語で、AS群はHOPDD群とHIA群よりも、有意に評価点が高く、理解と数唱で高い傾向があった。符号では3群に有意差があり、HIAがAS群より有意に高かった。CARS-TV総得点は3群で有意差があり、AS群(25.2±3.2)がHIA群(28.0±3.5)より有意に低かった。15下位領域中2領域で3群に有意差があり、知的機能でAS群はHIA群より有意に、HOPDD群とは有意差傾向で低かった。全般的な印象では、AS群とHOPDD群は有意差はないが、両群ともHIA群より有意に自閉傾向は軽かった。負因、脳波異常とてんかん発作に3群で有意差はなかった。AS群は、IA群やHOPDD群より障害は軽く、IA群よりOPDD群に近縁性がある。
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