研究課題/領域番号 |
04670767
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
白井 良夫 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (50216173)
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研究分担者 |
山洞 典正 新潟大学, 医学部・附属病院, 医員
内田 克之 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手
塚田 一博 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (90171967)
大谷 哲也 新潟大学, 医学部附属病院, 医員
黒崎 功 新潟大学, 医学部附属病院, 医員
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
500千円 (直接経費: 500千円)
1993年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 胆嚢癌 / 膵管胆道合流異常症 / 胆嚢腺筋腫症 / N-nitrosobis(2-oxopropyl)amine / 実験胆嚢癌 / 胆石形成食 / 胆嚢胆汁 / 胆汁酸 / 膵管胆道合流異常 / BOP誘発胆道腫瘍 |
研究概要 |
【目的】本研究の目的は、胆嚢粘膜と常時接する胆嚢胆汁中に胆嚢癌を発生または促進させる成分があるか否かを実験的・臨床的検討により明らかにすることである。 【対象と方法】I.実験的検討:BOP誘発胆道系腫瘍に対する胆石形成食(催石性の上昇した胆汁)の影響を検討した。ハムスターを、I群:市販固形食で飼育(n=16)、II群:胆石形成食で飼育(n=16)、III群:I+20ppm濃度BOP飲水(n=9)、IV群:II+20ppm濃度BOP飲水(n=9)の4群とした。BOP飲水は20週とし20-21週で屠殺し腹腔内臓器を病理検索した。 II.臨床的検討:手術時に採取された胆嚢胆汁の脂質を分析した。I群:正常胆嚢群(n=13)、II群:膵管胆道合流異常症(n=13)、III群:胆嚢腺筋腫症(分節型)(n=20)、IV群:胆嚢癌(n=15)の4群で胆嚢胆汁を採取し、その脂質(総胆汁酸、一次・二次胆汁酸、リン脂質、コレステロール)濃度を測定した。統計学的有意差検定は対応のないWilcoxon検定で行なった。 【結果】I.実験的検討:I、II群には腫瘍の発生はなかった。III、IV群には肝臓、胆道、膵臓、十二指腸に腫瘍が発生したが、III・IV群間には腫瘍の発生率には有意差はなかった。 II.臨床的検討:胆嚢癌の胆嚢胆汁の総胆汁酸濃度は29.3±21.5μmol/ml、二次胆汁酸濃度は7.7±5.4μmol/mlであり、正常胆嚢症例に比し有意に(P<0.001)低値であった。前癌病変である膵管胆道合流異常症の胆嚢内胆汁の総胆汁酸濃度は56.1±64.8μmol/ml、二次胆汁酸濃度は6.8±7.0μmol/ml、及び分節型の胆嚢腺筋腫症の底部側胆嚢胆汁の総胆汁酸濃度は74.8±19.3μmol/ml、二次胆汁酸濃度は13.7±15.2μmol/mlであり、これらの濃度は正常胆嚢症例に比し有意に(P<0.01)低値であった。 【結語】I.実験的検討:ハムスターでは、胆石形成食の投与は20ppm濃度のBOP誘発胆道腫瘍発生を促進しなかった。II.臨床的検討:胆嚢癌及び胆嚢前癌病変の胆嚢胆汁に共通した特徴は、総胆汁酸濃度、二次胆汁酸濃度の低下であった。すなわち、胆嚢胆汁成分のうち胆汁酸の胆嚢発癌への関与は否定された。今後は、胆汁酸以外の胆汁成分中に発癌因子を求めていくことが必要である。
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