研究概要 |
平成6年度は、平成5年度に十分施行できなかったbiodistributionの実験をまず行った。すなわち、培養ヒト悪性グリオーマ細胞U-87MGの1。5x10^7個をヌードマウスの皮下に移植し、ある程度の大きさになる12日目に^<131>I,^<125>I,^<111>InをそれぞれラベルしたEGF-R,FGF,PDGFに対する中和モノクローナル抗体を同時に腹腔内投与し、それから2日後にマウスを屠殺して各臓器を摘出し、現有の液体シンチレーションカウンターにて各アイソトープの量を検出し、biodistributionを求めた。その結果、それぞれの増殖因子あるいは増殖因子受容体に対する中和抗体は皮下移植脳腫瘍に選択的に集積したが、特にそれぞれの抗体を単独投写した時に比べて有意に腫瘍への集積が増加したとは判定できなかった。 次に、上記と同様の動物モデルにて3種類の中和抗体を同時に頻回投与し、腫瘍増殖抑制効果についてこのカクテル療法群と各中和抗体単独投与群、無治療群と対比検討したが、結果は、腫瘍移植早期にこれら複数の中和抗体を投与する場合には単回投与でも十分効果をあげることが可能だが、ある程度腫瘍が増殖してから投与する場合には、有意な増殖抑制効果を得るにはやはり頻回の投与が必要であることが判明した。 RIをラベルした中和抗体の作用に関してはまだ実験が終了していない。
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