研究課題/領域番号 |
04670918
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
半井 悦朗 東京大学, 医学部(分), 助手 (20189088)
|
研究分担者 |
釘宮 豊城 東京大学, 医学部(分), 助教授 (90010537)
佐藤 義明 東京大学, 医学部, 助手
林田 真和 関東逓信病院, 医員
鎮西 美栄子 東京大学, 医学部, 助手 (30165097)
|
研究期間 (年度) |
1992
|
研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1992年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | 神経原性肺水腫 / 静水圧型肺水腫 / 肺毛細管圧 / 交感神経 / 肺血管外水分量 |
研究概要 |
神経原性肺水腫(NPE)の発症機序に関しては静水圧型か透過型かの問題を含め未だ議論が一致していない。我々は犬のNPEモデルを使用して、NPEの成因解明を試みた。痳酔下に成犬を左開胸し、左肺上葉を切除後、ベラトリン脳槽内注入によるNPE誘発前後の、動脈圧、心拍数、肺動脈圧、左下葉肺血流量を持続測定した。更に独自の方法として左下葉重量変化を持続計測し、また一部の例では肺毛細管圧と肺毛細管透過性を測定した。最後に左下葉を切除して肺血管外水分量を測定し、肺水腫形成を確認し、計測値との相関を見ることでその成因を解析した。 ベラトリン注入直後から、上記の循環動態の諸パラメータと下葉重量は急激に増加して5-10分でピークに達し、以後徐々に回復した。この間、肺血管抵抗は急減後漸増した。生じた肺水腫の程度は、下葉重量最大増加(初期の肺血管内血液量の増加)、最高肺動脈圧と最高肺毛細管圧、及び下葉摘除時までの平均肺毛細管圧と密接な正相関が認められた。肺毛細管透過性は有意な変化を生じなかった。肺水腫は循環動態変化に遅れ30-60分後で最も重症化し、以後徐々に改善した。 以上により劇的交感神経緊張下の、肺血管への血液集中と肺血管コンプライアンスの低下による肺毛細管圧の急上昇がNPEの主因であることが判明し、NPEが基本的に静水圧型肺水腫であることを、極めて明確に示すことができた。更に肺血管への血液集中が、静脈還流血の急増によるのか、心不全に伴う肺うっ血によるのか現在解析中である。 以上を、第39回日本麻酔学会総会(1992/4/9福岡)、 1992 Annual meeting of American Society of Anestheologists (1992/10/20 New Orleans)、 第69回臨床呼吸生理研究会(1992/11/14 東京)にて発表した。今後第40回日本麻酔学会総回(1993/4/8 盛岡)にても発表予定であり、また臨床呼吸生理誌1993年5月号に小論文掲載予定である。
|