研究概要 |
子宮癌集団検診にて要精検症例と経過観測症例,および子宮頚癌発症例について平成4年度にHPV6/11,16/18,31/33/35型の検索を行って,子宮頚部病変進行との関連性において,6/11型はロ-リスク群,16/18型はハイリスク群,31/33/35型は中間群であることが判明したが,平成5年度,6年度の追加症例においてもこの傾向が確認された。平成5年度,6年度はさらにHPV感染に伴う形態変化が観察された症例であるにもかかわらず,上記の HPV DNAが検出されなかった症例についてプローブを追加して検索し,51/52型4例(軽度異形成1,中等度異形成2,高度異形成1),58型7例(軽度異形成3,中等度異形成2,高度異形成2)が新たに検出された。これらの症例の病態推移は51/52型4例は進行1例,退行3例,58型7例は進行2例,不変2例,退行3例であった。51/52型の進行1例は中等度異形成が上皮内癌に移行した症例,58型の進行2例は軽度異形成が高度異形成に,中等度異形成が上皮内癌に移行した症例であった。以上より子宮頚部病変進行との関連性においてHPV51/52型,58型は31/33/35型と同様に中間群であることが判明した。また経過観察中に癌化した症例が11例(上皮内癌8例,微小浸潤癌3例)認められたが,これらのHPV DNA型は16/18型が7例(63.6%),31/33/35型が2例(18.2%),51/52型と58型がそれぞれ1例(9.1%)ずつで,16/18型が高頻度であった。これらの結果からも子宮頚部病変進行との関連性において16/18型はハイリスク群,31/33/35型,51/52型,58型は中間群であることが確認された。
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