研究課題/領域番号 |
04671041
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
生駒 尚秋 鳥取大学, 医学部, 教授 (20032138)
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研究分担者 |
中島 幹夫 鳥取大学, 医学部, 助手 (10207772)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1992年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 滑動性眼球運動 / 小矩形波 / Square Wave Jerks / 視標の大きさ / 視標の周波数 / めまい・平衡障害 / 年令変化 |
研究概要 |
ゆっくりと移動する視標を注視して生じる滑動性眼球運動において、突然2度から10度の偏位が現れ、短時間その位置を保った後にもとの眼球運動になる現象を小矩形(Square Wave Jerks)という。この小矩形波の発現の機序と臨床的意義を明かにすることを研究の目的とした。水平方向に往復直線運動をする視標刺激で誘発される眼球運動を記録し、以下の結果を得た。 (1)視標の大きさを変えたとき、視標の直径が大きくなると小矩形波の発現頻度は増加する。(2)視標の周波数は、0.1Hzで小矩形波の発現頻度は最も多く、0.2,0.3,0.4,0.5Hzと周波数が増加するのに伴って小矩形波の出現頻度は減少した。(3)小矩形波の発現頻度、振幅、持続時間のうち、若年者に比べて、高齢者では振幅と発現頻度が増加する。 (4)抗不安薬のジアゼパムは、小矩形波の発現頻度、振幅、持続時間のいずれにも影響しない。(5)アルコールの血中濃度の上昇は、小矩形波の持続時間の延長をきたすが、発現頻度と振幅は変化しない。(6)382例のめまい平衡障害患者のうち、小矩形波が出現したのは47例(12.3%)であった。末梢前庭性めまい疾患では14.4%に、中枢性めまい疾患では38.2%に小矩形波の混入を認め、中枢性めまい疾患の発現頻度が高い結果をえた。(7)聴神経腫瘍と小脳髄変性症は全例小矩形波の混入がみられ、とくに聴神経腫瘍に比して、小脳脊髄変性症は小矩形波の発現頻度が有意に増加していた。 以上の結果から、小矩形波は脳幹・小脳障害で多発するが、生理的条件でもみられることがある。小矩形波の発現は中枢障害を示唆する所見であるが、発現の有無ではなく、発現頻度の各年齢層で検討して病的意義を見いだすのが妥当である、との結論を得た。
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