研究概要 |
日本白色ウサギに対し、アルゴンレーザー隅角照射を行い、高眼圧モデルを作成した。術後約60%に眼圧上昇を認め、その約30%が1週間の間、30mmHg前後の高眼圧を示した。これらに対し流量を一定にした4%パラフォルムアルデヒドにて前房より還流固定を行い視神経乳頭を型のごとく摘出し、約1mmのスライスに切り、0.25%のグルタールアルデヒド固定後、急速凍結ディープエッチングとプラチナの回転蒸着によりレプリカ膜を作成し、透過電子顕微鏡にて観察した。又、別の群は4%パラホルムアルデヒド固定の後にポリエチレンイミンの反応をさせ、後は同様のプロセスをおこなった。光学顕微鏡による組織化学的手法のために、組織は4%のパラホルムアルデヒドにて同様の固定後、視神経乳頭を切りだし、浸漬固定の後、脱水、透徹からパラプラストにて包埋し、HID,AB(pH2.5),AB(pH1.0),AB-PAS,PAS-AB染色を行った。結果は、急速凍結ディープエッチング法では、正常眼圧視神経乳頭に比べると高眼圧群は、lamina cribrosa近くのコラーゲン線維がcribrosaの後方部より少なかった。ポリエチレンイミンによる反応では陰性荷電の反応がコラーゲン線維の縞構造に沿って非常に多量の反応物質として検出された。光学顕微鏡による各種染色ではAB(pH1.0),AB(pH2.5),HID染色で、高眼圧群の方が若干染色性が弱かった。PAS染色では差を認めなかった。以上の結果から、高眼圧によりlamina cribrosaの近傍特にその前部においてコラーゲン線維が減少し、その線維間のプロテオグリカンも同様に減少している可能性があることがわかった。
|