研究概要 |
本研究は、三叉神経感覚系におけるcapsaicin感受性神経の同定、及びそれの三叉神経領域の「痛覚」における役割の解明を目的としている。そこで、本研究は大きく分けて以下の二つの実験から成っている。(1)三叉神経第二枝の眼窩下神経(ION)中のA-,C-fiber成分の電気生理的同定、及びそれらのcapsaicinに対する感受性の検証 (2)ION電気刺激に対する三叉神経脊髄路核尾側亜核(Sp5C)におけるA-,C-fiber成分電場電位応答の同定、及びそれらのcapsaicin投与に対する変化の検討 これらの研究から現在までに以下の結果を得ている。 実験(1)から以下の結果を得た。 A-fiber CAPのcapsaicinに対する非感受性、C-fiber CAPのそれに対する感受性及びcapsaicin効果の可逆性を検証した。 実験(2)に関して以下の結果を得た。 ION刺激に対するSp5CにおけるC-fiber成分電場電位応答を三次元的に調べ、最大応答部位を見出した。さらに、IONにcapsaicinを局所投与し、Sp5CにおけるC-fiber成分電場電位応答のそれに対する感受性、及びその効果の可逆性を検証した。そして、C-fiber成分電場電位応答最大部位におけるcapsaicin投与前後におけるA-fiber成分電場電位応答に関するpaired pulse testにより、Sp5CにおけるC-fiber入力によるA-fiber入力抑制の可能性の示唆を得た。
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