研究概要 |
超電導MR画像撮像装置の開発により,高分解能に加えて,高速撮像が可能になった。これによって,画像処理能力も向上し,これまでの2次元画像でのパラメータ,すなわちスピンエコー法のパラメータを生かしつつ,3次元画像化を試みたところ,スライス数の大幅な増加とそれによる撮像時間の延長を考慮して,ファーストスキャンのパルスシーケンスのひとつであるファーストフィールドエコー法を採用した。本法にて最短時間で必要な情報が得られるスライス面を検討したところ,コロナル像が約10分で撮像できることがわかった。そこで撮像範囲を咬筋前縁相当部から後方にむけて外耳孔相当部までの範囲をルーティンでコロナル像を撮像した。得られた18枚から21枚のスライスを画像処理ワークステーションにて3次元再構築し,顎関節と咬筋,外側翼突筋,内側翼突筋および側頭筋のスライス画を自由に設定して軟組織を観察することが可能になった。動画として開閉口運動路上の8段階を撮像するには患者の疲労を考慮して5分以内が妥当であると考えて,8段階では40分の撮像時間を要することになる。しかしながら,現状では18から20スライスを5分以内で撮像するには限界があり,今後新たなパルスシーケンスの開発が必要と思われる。一方,閉口時の下顎位の規定は片側咬筋の筋腹中央部から双極誘導にとって得られた最大収縮強度の10%の収縮強度が得られる咬みしめ強度とした。この際,咬筋からの電位導出がMR撮像時のパルスがアーチファクトととなりS/N比の低下が問題となっていたが本研究では無線を用いることによってワイヤレスにして,雑音を拾いにくくすることによって規定可能な原波形を得ることに成功し,咬みしめ強度規定の問題は解決できたと思われる。
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