研究概要 |
本研究では唾液腺造影における一回照射法のエネルギーサブトラクションを目的として実験を行ったものである。このエネルギーサブトラクションのパラメーターとして管電圧,フィルターの種類と厚さ,造影剤の原子番号について実験的な検討を行った。またこのサブトラクションの評価方法を前述のパラメーター4種類について変化させたものから得た濃度比グラフを作成し,消去の対象となる骨との画像分離度(SI値:Separation Index)を導き出した。そしてこの評価方法を実際のサブトラクションにより,画像分離度とイメージとを対応させ確認を行った。次にこの評価方法を用い,骨と造影剤の原子番号(17〜92番)の分離について同様の方法にて実験し,以下の結果を得た。 1.骨と造影剤の濃度比グラフの角度差を画像分離度とし,この値がサブトラクションの評価方法として有効であった。すなわち式SI=tan^<-1>γ-45(ここでγは造影剤の傾斜を表す)より求めた。 2.ヨウ素系造影剤での最適条件は管電圧50KV,銅フィルターの厚みが0.8mmの時であった。 3.散乱体(軟組織板)の存在により濃度比の傾斜に変化がみられた。 4.散乱体が存在しても,ヨウ素系造影剤のサブトラクションの最適条件は管電圧50KV,銅フィルター0.8mmとなった。 5.グリッド使用の有無では,使用した時より使用しない方が分離度は高く,この傾向は低管圧で特に顕著であった。 6.X線吸収率と原子番号の関係は,原子番号の増加に伴って吸収率も上昇するがK-吸収端付近では吸収率の低下する領域が認められ,管電圧上昇やフィルター透過により高原子番号側にシフトした。 7.各管電圧における最適原子番号は吸収率の逆転域に認められ,70KVでNd,100kVでTbとなり,散乱体によりやや高原子番号側に移行した。
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