研究課題/領域番号 |
04671329
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理系薬学
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
広野 修一 北里大学, 薬学部, 助教授 (30146328)
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研究分担者 |
山乙 教之 北里大学, 薬学部, 助手 (60230322)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1992年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | カルモデュリン / 標的蛋白質認識機構 / 標的蛋白質調節機構 / コンピュータシミュレーション / 分子動力学法 / コンピュータグラフィックス / カルモデュリン-メリチン複合体 / 相互作用エネルギー解析 |
研究概要 |
カルモデュリン(CaM)は、カルシウムイオンと結合して、多くの酵素の活性化を調節する生理学的に重要な多機能蛋白質であり、標的酵素のモデルペプチドと結合すると分子の慣性半径及び分子長の値が著しく減少し、特異な亜鈴状構造から球状構造へ変化するということが知られており、このような形態変化が標的酵素の活性化機構に非常に重要であることが示唆されている。本研究では、モデルペプチドの一つである蜂毒由来の両親媒性ペプチド、メリチンを用い、CaM-メリチン複合体をモデリングし、分子動力学法による複合体形成の水溶液中のコンピュータシミュレーションを行い、エネルギー解析に基づきメリチンと結合する際のCaM分子の形態変化のメカニズム及び標的酵素の認識機構を明らかにした。その結果CaMが水溶液中で単独の場合は、CaMのリンカー領域とEヘリックスの間に酸性残基同士の静電的な反発があり、中央ヘリックスの大きな折れ曲がりは起こらないことがわかった。一方、CaM-メリチン複合体ではCaMの中央ヘリックスのこの部分にメリチンのLys7が配置されるため、中央ヘリックスの酸性残基同士の静電的な反発を緩和し、さらにこのリンカー領域のアミノ酸残基とメリチンの残基が、CaMのNドメイン・Cドメインの両方と強力なソルトブリッジを形成することによってリンカー領域が大きく折れ曲がり、二つのドメインを接近させることがわかった。従って、CaMの中央ヘリックスの酸性残基と標的酵素の両親媒性へリックス領域の塩基性残基との相互作用が酵素認識機構に非常に重要であることが示唆された。以上の成果の一部は、8th International Symposium on Calcium-Binding Proteins and Calcium Function in Health and Disease(1992年8月、スイス)で発表した。
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