研究課題/領域番号 |
04671332
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理系薬学
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
丸山 一雄 帝京大学, 薬学部, 講師 (30130040)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1992年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | リポソーム / ステルスリポソーム / ドラッグデリバリーシステム / ドキソルビシン / 細網内皮糸組織 |
研究概要 |
研究計画に基づき1〜3の実験を行い、以下のような結果を得た。 1.ポリエチレングリコール(PEG)リポソームの血中滞留性の最適化 PEGとしては、分子量の異なる5種を用いた。PEGをリポソーム膜に導入するために、リン脂質誘導体とした。これら誘導体とリン脂質:CHよりリポソームを調製し、マウスに尾静脈投与して血液、肝臓、脾臓への分布を中心に調べた。特に、血中滞留量とその持続時間およびRES取り込み量を経時的に調べた。その結果、PC:CHリポソームではPEG5000が高い血中滞留性と低いRES取り込みを示した。DSPC:CHリポソームでは、低分子量のPEG1000またはPEG2000で高い血中滞留性を示した。いずれも、6mol%の付与量で、脂質組成により最適な分子量のPEGを選択する必要があった。PEGリポソームのRES回避は、マクロファージ取り込み回避であり、その結果血中滞留性が高くなることが明らかとなった。また、PEGリポソームのRES回避には、30nm以下のサイズであることが重要であった。このようにして、PEGリポソームの血中滞留性とRES回避性に対する最適条件を見い出すことが出来た。これを基礎とし、機能性血中滞留形リポソームの開発を行った。 2.ドキソルビシン(DXR)封入徐放性PEGリポソーム PEG1000:DSPC:CHリポソームにDXRを封入して、L1210担癌マウスに対する抗腫瘍効果を調べたところ、ほぼ完全な延命効果が認められた。これは血中滞留型リポソームから、DXRが徐放され、有効血中濃度を長時間維持した結果であった。コントロールのDSPC:CHリポソームでは、延命効果は観測されず、血中滞留性の効果は顕著であった。 3.DXR封入温度感受性PEGリポソーム 相転移温度41℃のDPPCを主構成成分とするリポソームにPEG1000を導入し、温度感受性血中滞留形リポソームを調製した。In vitroの放出実験において、41-43℃で急激な内包DXRの放出が起こり温度応答特性を示した。マウス脚部に作成したcolon26固形癌部位を局所的に加温したところ、癌組織中のDXR濃度が、非加温時と比べると10倍ほど高くなった。また、コントロールの温度感受性リポソームと比較すると、癌組織中DXR濃度は、約3倍高かく、血中滞留化の効果が顕著に現れた。 以上、申請時の研究計画を全て遂行できた。本実験結果は、次のテーマである、イムノ温度感受性長時間血中滞留型リポソームの開発に重要な知見を与えてくれる。
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