研究概要 |
1.Cl 輸送性ATPaseの遺伝子クローニング 1)b(50kDa)サブユニットについて:C末端及びその下流領域をコードするクローンをpoly(A)^+RNAより得た。その全一次構造は478アミノ酸から成り,分子量51,513であった。ホモロジーサーチの結果,クラミドモナスCF_1-ATPase,betaサブユニットと最も高い相同性を示した。ノザーン解析により,10kb以上,7.5及び3.8kbのメッセージが検出された。カサノリCF_1-及びMF_1-betaをコードする遺伝子断片をプローブとした場合,約2.2kbのメッセージが検出された。即ち,FタイプATPase,beta様遺伝子が3種類存在する。 2)a(54kDa)サブユニットについて:N末端から全長の約50%をコードする遺伝子断片(803bp)を得た。そのアミノ酸配列は,ホウレンソウCF_1-alphaサブユニットと約75%の相同性を示した。但し,カサノリCF_1-alpha遺伝子断片と比較すると,塩基配列で77%,アミノ酸配列で84%の相同性を示すがそれぞれ独立のものであった。これまでの結果をあわせると,カサノリCl^-輸送性ATPaseはアニオンを輸送するが一次構造からはFタイプATPase familyに属するものといえる。アニオン輸送路を形成するものは精製標品に常にminor componentとして存在する40kDaのポリペプチドと推定され,現在クローニングを進めている。 2.sulfate permeaseについて:これまでに得ていたcysA,sbp遺伝子断片並びに同属のmaltose permease,malK遺伝子断片をプローブとしてノザーン解析を行なった。それぞれ1.7,1.55,1.65kbのメッセージが検出され,いわゆるABCタイプATPaseのカサノリにおける発現を確認した。これは植物において初めての例である。
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