研究課題/領域番号 |
04671353
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
井出 利憲 広島大学, 医学部, 教授 (60012746)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1993年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1992年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 線維芽細胞 / 細胞老化 / cDNAライブラリー / サイトカイン / インターフェロン / 増殖抑制 / サイトカン / ヒト線維芽細胞 / T抗原 / 分裂寿命 / 培養細胞 |
研究概要 |
ヒト正常細胞は細胞分裂の可能回数に有限の限界があるが、典型的なガン細胞はこの性質を失って無限に増殖する能力を獲得している。正常細胞の分裂寿命の表現は細胞老化とも称される。本研究の目的は、正常細胞の分裂寿命の限界期において細胞の増殖を停止させるように働いている遺伝子をクローニングし、その機能的役割を明らかにすることにある。従来の同様な試みにおける問題点をのりこえるためにサブトラクションcDNAライブラリーを新たに工夫調製し、老化細胞で発現が上昇する9クローンを得た。塩基配列を決定した結果、4クローンは従来報告されていないものであった。他の4クローンは既知遺伝子と相同性の高いものであった。さらに1クローンはインターフェロン(IFN)誘導遺伝子6-16と同一の配列を含んでいた。IFNは細胞増殖抑制活性をも有することが知られているが、分裂寿命との関係は全く報告されていなかったので、まずこの点について注目し、本研究で以下のことを明らかにした。正常細胞・トランスフォーム細胞を問わず、IFNによって誘導される3種類の遺伝子は、いずれも分裂寿命の限界に近づくと急激に発現が上昇した。これは異なった3種類の細胞株で認められ、一般的な現象と思われた。延命期の細胞は明らかに増殖抑制活性のある因子を培地中へ放出していた。培地中のIFNをアッセイしたところ、IFN-βが検出された。しかし、IFN-αとIFN-γは検出されなかった。若い細胞にIFN-βを投与すると、IFN誘導遺伝子が発現し、細胞増殖が阻害された。一方、老化細胞や延命細胞に抗IFN-β抗体を処理すると、高い発現をしていたIFN誘導遺伝子の発現が顕著に抑制された。また、老化期に近くなり、増殖速度の低下した正常細胞にたいして抗IFN-β抗体を処理すると、増殖が促進される傾向を示した。以上の結果を総合すると、分裂寿命の末期に近づくに従って、IFN-βの発現・分泌が上昇し、その結果IFN-β誘導遺伝子の発現が上昇し、細胞増殖が抑制されるものと考えられる。分裂寿命の末期になぜIFN-βの発現が昂進するかが次のプロジェクトとなるであろう。
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