研究概要 |
血小板活性化因子(PAF)は好中球等炎症に関わりの深い細胞で病態時の様々な刺激により新たに産生されるメディエーターであることが認められている。本研究代表者は新生されたPAFの細胞外遊離に血清中に存在する蛋白性因子(PAF遊離因子)が関与していること、またカラゲニン刺激炎症液やリユウマチ患者関節液および変形性関節液中にもこのPAF遊離因子が存在することを明らかにすることが出来た。ヒト血清より硫安分画、DEAE-セルロファイン、セファロースCL-6BカラムクロマトグラフィーによりPAF遊離因子の部分精製標品を得た。さらにPAFの構造類似体である1-alkyl-2-acetyl-sn-glycero-3-phosphoethanolmaineを部分合成し、活性化CH-セファロース4Bに結合させたアフィニティー担体を用いて高純度のPAF遊離因子を得ることが出来た。この精製遊離因子を用いて常法に従い免疫したBALB/c SPFマウスの脾臓細胞をミエローマ細胞と融合後、ELISA法により抗体産生細胞を選抜した。SDS-PAGEによりPAF遊離因子を分離後にニトロセルロース膜に転写し、得られた抗体とPOD標識2次抗体を用いた免疫染色法で抗体の特異性を検討したが、これまでに得られた抗体は遊離因子蛋白質以外の血清蛋白質とも反応性を示した。この結果は遊離因子と類似構造を持った蛋白質に起因するのか、精製遊離因子標品の純度に問題があるのか現在検討を加えるとともに、再度特異性の高い抗体を得る努力を継続している。精製PAF遊離因子の脂質結合特異性を本研究担当者が開発した抗BSA IgG結合アガロースを用いた測定法で検討し、この遊離因子の結合親和性は血清中に存在する脂質(phosphatidylcholine,Triacylglycerol,Cholesterol ester,Free fatty acid)よりもPAFに対しより高いことを明らかにすることができた。
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