研究概要 |
脳に特異的に存在するPNP14は、牛、およびラットで見いだされたが、両生類、魚類、爬虫類、鳥類の脳にもその存在が認められた。ラット大脳、および小脳では全可溶性タンパク質中の0.1%に相当し、1μg/mgタンパク質であった。哺乳類以外の脳においてもその含量はラットとほぼ同程度であった。PNP14は種を越えて保存されていることから、中枢神経系で重要な機能を演じているものと考えられる。その機能に関しては、情報伝達系に重要な役割を演じているphosphatidylinositol 3-kinase、およびpp60^<c-src>と複合体を形成することから、PNP14は情報伝達に関与していることが強く示唆される。本タンパク質はグリア細胞には検出されず、神経細胞に特異的であり、その局在が軸索終末の前シナプスであることから、そこで機能発現しているものと考えられる。PNP14は細胞体にはほとんど検出されないことから、生合成後、速い軸索輸送により神経終末に運ばれるものと考えられる。また、PNP14はin vitro,in vivoでリン酸化され、カルモデュリンキナーゼIIによりセリン残基が、また、EGF受容体やpp60^<v-src>によりチロシン残基がリン酸化されることから、その機能はこれらのプロテインキナーゼによるリン酸化反応を介して制御されている可能性が示唆される。
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