研究概要 |
シアリダーゼ複合体に対するポリクローナル抗体の作成を行い、シアリダーゼ活性を非常に良く沈降させる抗体を得た。この抗体を用いて牛脳cDNAライブラリー(λgt11)をスクリーニングしたところ、抗体に対する反応性が認められる6個のクローンを得た。このクローンについてその塩基配列の解析を行い、現在シアリダーゼ活性との関わりについて検討を行っている。 シアリダーゼの活性化機構について検討した。その結果、プロテアーゼ阻害剤の一つであるアマスタチンにより特異的に阻害されることことを見いだし、アミノペプチダーゼA様のプロテアーゼの関与によって活性化が生じることを明らかにした。(J.Biochem.,114,901,1993) 高等動物シアリダーゼの構成成分ともなっているβ-ガラクトシダーゼ(β-Gal)と保護蛋白と呼ばれる蛋白質のシアリダーゼ活性との関わりを知る目的で、β-Galと保護蛋白の相互作用について検討した。その結果、保護蛋白は30Kと20K蛋白がジスルフィド結合をしたものであり、カルボキシペプチダーゼ活性を持ち、その活性は30K蛋白成分に存在することなど明らかにした。さらに、β-Gal多量体形成に保護蛋白の関与が必要であるが、カルボキシペプチダーゼ活性は関与していないことなどを明らかにし、シアリダーゼ活性が極めて複雑な系の下に機能していることを示す結果を得た。(Glycoconjugate J.10,230.1993、第15回糖質シンポジウム予講集 67,1993) シアリダーゼの基質類似化合物を合成し、その中からp-アミノフェニルチオンシアロシドが強い阻害活性を持つことが解った。このことから光アフィニティーラベル化を行うためのラベル化剤の合成を行い、シアリダーゼ活性への影響を調べたところ、バクテリアと異なり高等動物シアリダーゼへの阻害効果が減少することが解り、現在新しい阻害剤とラベル化剤の検討を行っている。なお、阻害剤及び阻害効果についての検討を幅広く行えるよう酵素免疫法を用いた活性測定法について検討を行いその方法を確立することが出来た。(日本薬学会第114年会講演要旨3,p.149,1994)
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