研究課題/領域番号 |
04671394
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医学一般
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
金田 安史 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助教授 (10177537)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1992年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 遺伝子治療 / HVJ-liposome / インスリン / 糖尿病 |
研究概要 |
当研究室では従来より外来遺伝子を核蛋白質HMG-1と共にリポソームに包み込みHVJの融合能を利用して効率よく個体の臓器へ導入し、遺伝子の発現に成功してきた。今回は糖尿病の遺伝子治療を目ざし、ヒトインスリンDNAの臓器への導入と発現を試みた。既にラットの肝臓へヒトインスリンgenomic DNAをvesicle complexを用いて導入し、一過性の発現に成功していた。今回は改良法のHVJ-liposome法を用いてヒトインスリンDNAをマウスの肝臓に導入したところ、ヒト空腹時血中の約2倍のインスリンがマウス血中に分泌された。しかし発現は約10日間で、その原因は導入DNAが核内でepisomal formとしてとどまり約10日間で崩壊するためである。そこで長期発現のため、1つは連続投与を種々の臓器に対して行なうこと、もう1つは核内で導入DNAを安定に保つ工夫を行なうこと、を目ざした。肝臓に1週間でとに計4回の打ち込みを行なった結果、ヒトインスリンが約1ケ月マウス血中に分泌された。部分肝切除は侵襲が大きく効率がよくなかった。連続投与の容易な筋肉内への注入も試みたが肝臓の場合よりインスリン分泌量は低かった。分泌インスリンが血糖降下に働くかどうかは大きな問題だが、マウスの血糖は一時的に130mg/dlより80mg/dlまで降下した。メカニズムは不明だが、プロインスリンが一部活性型に変換されているのかもしれない。ストレプトゾトシンで実験的な糖尿病をつくった場合は、ヒトインスリンを導入しても血糖を降下させることはできなかった。一方、核内でDNAを安定化させる因子として、HMG-1の他にヒストンやトポイソメラーゼ等も効果的だが、我々は最近、新たな染色体構築蛋白ρ40の分離に成功した。この蛋白のDNA安定化作用について目下検討中である。
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