研究概要 |
1.BALB/cマウスを用いて、灸(熱)刺激およびトリフロル酢酸(TFA)の皮膚刺激による炎症モデルを作製しエバンスブルーの浸出を指標として検討を行った。両刺激共に刺激後30分で血漿浸出のピークが認められた。W/W^vおよび同系+/+を用いて同様に急性炎症反応を起こすと、W/W^vマウスではTFAでの血漿浸出が完全に抑制され、灸の場合でも、70%の抑制が認められた。このことは、灸およびTFAによる炎症が肥満細胞依存性であることを示している。この系で、急性炎症誘導の120分前にサブスタンスPアンタゴニスト(D-Arg^1,D-Trp^<7,9>,Leu^<11>-Substance P)を0.25〜25mug投与し血漿浸出反応への効果を検討したところ、抑制効果は認められなかった。現在他の炎症メディエーターの産生へのサブスタンスPアンタゴニスト投与の影響を急性炎症モデルで検討中である。 2.我々はこれまで置鍼刺激や、水浸拘束などのストレス刺激により、マウス血中に、IL6の産生が誘導されることを報告してきた。今回、これらの刺激によるIL6S産生に、サブスタンスPが関与するか否かを検討する目的で、刺激前にサブスタンスPアンタゴニストの皮下投与(4mg/kg)による影響を検討した。置鍼刺激30分でも、水浸拘束刺激4時間においても、著明なIL6産生の抑制が認められた。現在この抑制が局所での刺激抑制によるのか、末梢神経からの求心性入力ブロックによるのかを神経切断および薬理的ブロックによって検討している。 3.マウス慢性炎症モデルでのサブスタンスPの役割と、サブスタンスPレセプター発現動態に関しては現在検討中であり今後明らかにしてゆきたい。
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