研究概要 |
インスリンと関連の生理活性ペプチドホルモンのグルカゴン,セクレチン,β-エンドルフィン,ソマトスタチン,アンギオテンシンI,IIおよびIII,ガストリンレリージングホルモン,ガストリックインヒビトリポリペプチド,ANP,ACTHとVIPの全部で13種を標品を用いてAquapore OD300-7m2.1×100C_<18> ABIの逆相カラムの高速液体クロマトグラフィー(LC)で分離し,LCと直結し,イオンスプレー法でイオン化するPerkin-Elmer社のSciexAPI-IIIトリプル四重極質量分析計により分析し,13のペプチドを35分以内に分離し,いずれも14fmol/μ1〜6pmol/μ1の濃度範囲で良好な直線性を示す検量線を得ることができた.13種のペプチドホルモンを血清に加えた試料を用いて分析してもほぼ同様の値が得られた.しかし,上記の感度で血中濃度を測定することは不可能で,さらに100倍程感度を高める必要がある. そこで飛行時間質量分析計(time of flight mass spectrometer:TOF)を用いた測定法について検討した.5〜500fmol(28〜2,800pg)の子牛インスリンをシンナピン酸をマトリックスとし,matrix assisted laser desorption:MALDで測定した.その結果,5fmolでも高いS/N比でインスリンのピークが検出され,数fmolの測定も可能であることが分かった.この値はイオンスプレー法より高い値であるが,当初の一斉分析の目的には適合せず,また血中濃度の測定にも不十分である. 以上,イオンスプレー法およびMALDで血清中に含まれるインスリンの約10倍濃度の定量を可能にしたが,研究目的を十分に満足させる結果は得られず,今後ペプチドホルモンの濃縮法を検討することによって本研究を完成させてゆく予定である.
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