研究課題/領域番号 |
04671484
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内分泌・代謝学
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
吉本 勝彦 徳島大学, 医学部, 客員助教授 (90201863)
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研究分担者 |
佐野 壽昭 (佐野 寿昭) 徳島大学, 医学部, 講師 (80154128)
岩花 弘之 徳島大学, 医学部, 寄附講座担当教員
板倉 光夫 徳島大学, 医学部, 客員教授 (60134227)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1993年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1992年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 内分泌腫瘍 / ras遺伝子 / p53遺伝子 / Gsα遺伝子 / 変異 / 多発性内分泌腫瘍症1型 / 第11染色体 / 塩基置換 / PCR-SSCP |
研究概要 |
内分泌腫瘍には機能性あるいは非機能性の腫瘍性病変が、遺伝性あるいは非遺伝性に発生する。また内分泌腺の腫瘍性病変は過形成から腺腫、癌への移行も考えられている。これらの点から内分泌腺の腫瘍性病変は腫瘍化機構の有用なモデルとなり得ると考えられる。本研究においては癌遺伝子としてras遺伝子、Gsα遺伝子、癌抑制遺伝子としてp53遺伝子を取り上げ、多数の内分泌腫瘍を効率よく解析するためPCR-SSCP(polymerase chain reaction-single strand conformation polymorphism)法あるいはPCR-PIRA(primer-introduced restriction analysis)法を用いて変異の有無についてスクリーニングを行った。さらに直接塩基配列決定法による塩基配列の決定により異常を同定し、内分泌腫瘍における遺伝子レベルにおける腫瘍化機構の解析を試みた。 1.ras遺伝子の変異 171例の腫瘍組織のうち、4例の甲状腺濾胞腺腫でN-ras遺伝子コドン61に、1例の濾胞腺腫でH-ras遺伝子コドン61に、また1例の褐色細胞腫でH-ras遺伝子コドン13の変異を認めた。下垂体癌1例においてH-ras遺伝子コドン12の変異を認めたが、いずれの下垂体腺腫においても変異を認めなかった。 2.p53遺伝子の変異 134例の腫瘍組織および6種のヒト内分泌腫瘍細胞株を解析した。1例の副甲状腺腺腫でコドン151に、甲状腺の低・未分化癌細胞株であるHTC/C3、8505C、SW579において、それぞれコドン152、248、255に変異を認めた。しかもこれらの細胞株では正常アレルが欠失していた。しかしいずれの分化型腫瘍においても変異は検出されなかった。これらの結果よりp53遺伝子の変異が未分化癌への悪性化に関与していることが示唆された。 3.Gsα遺伝子の変異 コドン201あるいは227に変異が存在すれば、プライマーにミスマッチを導入することによりPCR産物が特定の制限酵素で切断可能となり、変異の有無が切断断片の長さでスクリーニングできるPCR-PIRA法を開発した。この方法により200例の腫瘍組織のうち、4例のGH産生下垂体腺腫、4例の甲状腺乳頭癌、1例のアルドステロン産生副腎皮質腺腫においてコドン201での変異を確認した。 本研究で検討した内分泌腫瘍では、ras、p53遺伝子の変異は大腸癌、肺癌、膵癌などの他の悪性腫瘍に比べて低いこと、Gsα遺伝子の変異の頻度も4.5%と低頻度であることが明らかとなった。現在一般的に腫瘍は複数の遺伝子変化により発生、進展すると考えられることより、内分泌腺の腫瘍化には、今回検討したras、p53、Gsα遺伝子以外の未知の癌遺伝子あるいは癌抑制遺伝子の変化が関与している可能性が示唆される。
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