研究課題/領域番号 |
04671523
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
服部 俊夫 京都大学, ウィルス研究所, 助教授 (30172935)
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研究分担者 |
松下 修三 熊本大学医学部, 附属病院, 助手 (00199788)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1992年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | ATL / グルココルチコイド / レチノイド / 受容体 |
研究概要 |
成人T細胞白血病(ATL)細胞はT細胞由来である。T細胞はグルココルチコイド(GC)を始めとする様々な因子により増殖、分化の制御を受ける。GCは細胞内部に存在する受容体蛋白(GR)に結合した後に転写調節因子として働き、特異的なDNA塩基配列(Hormone Responsive Element,HRE)を認識することが明らかになった。ビタミンA誘導体のレチノイン酸(RA)もステロイド受容体スーパーファミリーの受容体(RAR)と複合体を形成し、目的遺伝子の発現を調節することによって細胞の分化増殖の調節に関与している。本研究では慢性型及び急性型ATL細胞の増殖に対するGC及びRAの効果を検討し、その作用機序に関し考察を加えた。ATL患者末梢血単核球から分離したリンパ球から羊赤血球処理にてT細胞を分離し、更にCD4抗体結合ビーズにてCD4抗原陽性細胞のみを純化した。検索には慢性型ATL3例と急性型ATL3例を使用した。RA,GCの効果は^3H-チミジンの取り込みで測定した。ATL細胞の増殖に深く関与している細胞表面のインターロイキン受容体α鎖(IL-2Rα)の発現量の変化はフローサイトメトリーにて測定した。またGR,RAR遺伝子発現はノーザンブロッティング法及びRT-PCRを用いて検索した。増殖反応の結果からはRAは急性型ATL細胞の増殖を抑制したが、慢性型ATL細胞の増殖は抑制しなかった。またGCはいずれの型でも細胞の増殖を抑制した。また、IL-2Rαの発現はGCでは抑制されたがRAでは変化がなかった。しかしながらRARα遺伝子発現は急性型、慢性型で差がなかった。これらのことより、RAの慢性型及び急性型ATL細胞の増殖に対する抑制効果の違いはRA-RAR複合体の作用する遺伝子の違いによると思われ、その目的遺伝子の解析が必要であることが明らかにされた。本研究の遂行過程で付随的にATL細胞にはCD4もCD8も持たない亜型が存在することを明らかにした。本亜型に於てもCD3-T細胞抗原受容体が刺激されており、その刺激が増殖に大事と思われる。
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