研究概要 |
1.コントラサプレッサーT(TCS)細胞の表面マーカー TCS細胞はVicia villosa(VV)レクチン付着性が特徴である。ラット脳組織のGABAnergic neuronはVV^+である事が分かり、モノクロナル抗体(MoAb)が作製された(Exp Brain Res 78;43,1989及び89;109,1992)。この2つのMoAb.(VC.1.1と473)で解析を行った。(1)正常ドナー末梢血リンパ球(PBL)は、VV2〜5%に対し、Vcl.1 5〜10%,473 2〜5%と同等の陽性率を示した。ブロッキング実験では、VC1.1と473はVVと同じ抗原を認識する事が示された。(2)TCS細胞白血病患者より樹立したクローンMT13の表面形質を解析した。MT13は再構築実験によりTCS活性を有するTcsクローンである事が示され、表面形質は(CD3^+CD4^+CD8^-.VV^+.VC1.1^+.473^+であった。以上より以下の結論を得た。(1)これまでマウスTcs細胞はCD4^+,ヒトTcs細胞はCD8^+とされていたが、ヒトでもマウスと同様、CD4^+Tcs細胞が存在する。(2)MoAb.VC1.1と473はTcs細胞を特異的に染めるマーカーの可能性がある。 2.IBL様T細胞リンパ腺におけるTcs細胞の関与。 IBL様T細胞リンパ腫患者6例と正常ドナー5例のPBLでCD8^+Tcs細胞(CD8^+VV^+T)の割合を解析した。正常ドナーではPBLに占める割合が0.8〜1.8%(平均1.5%)であるのに対し、患者では1.1〜12.5%(平均6.8%)と高かった。又1例でリンパ節リンパ球を解析したが、VV^+CD8^+T細胞は42.5%と増加していた(正常1〜2%)。この症例では化学療法前後でのPBLを解析したが、CD8^+Tcs細胞は治療により4.8%から1.8%に減少した。以上よりIBL様T細胞リンパ腫患者では、末梢血、リンパ節ともVV^+CD8^+T細胞が増加している事が示され、病態へのTcs細胞の関与の可能性が示された。
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